校長室から

令和3年度 入学式

【式辞】

 桜の花から新緑の新芽がまぶしい今日の佳き日に、保護者の皆様の御臨席を賜り、「令和三年度 埼玉県立いずみ高等学校 入学式」を挙行できますことは、本校関係者にとりまして、大きな喜びでございます。

 ただ今、入学を許可いたしました、いずみ高校第二十三期生、二百三十八名の新入生の皆さん、入学おめでとうございます。皆さんの入学を心から歓迎いたします。

 本年度も引き続き新型コロナウイルス感染症拡大防止のため、御臨席について制限をさせていただいておりますが、こうして保護者の皆様と一緒に入学を祝福することができ、教職員一同、心からお慶びを申し上げます。

 本校は、与野農工高等学校をその前身とするも、平成十一年に改組され、全国初となる「生物・環境系総合高校」に生まれ変わりました。東京ドームのおよそ一・五倍を誇る校地は、農業技術者の養成機関として、戦前から戦後にかけてこの地に存在した「農民講道館」から譲り受けたものです。「いずみ」という名は、「湧きて流れる泉の丘に」と歌い継がれてきた校歌の一節に由来します。この地が荒川水系の湧水帯に位置しており、かつて豊富な地下水が湧き出る「泉」が数多く点在していたことを、ボブ・デュランの「風に吹かれて」の邦訳者として知られる、野上 彰 氏が本校のために作詞したものです。

 是非こうした長い本校の歴史と伝統を受け継ぎ、「いずみプライド」を築き上げていってほしいと思います。そのために、新入生の皆さんに是非とも心がけてほしいことを、一つお話しします。

 それは、コミュニケーション力をつけてほしいということです。

 友達同士での何気ない会話の中でも大切です。言葉が足らず、誤解されることや、自分の気持ちが伝わらなかったことはありませんでしたか?きちんと相手に伝えることを心がけてください。

 AIや情報技術の発展により、急激な変化を伴う社会へと変化していくということが言われています。原因は違いますが、新型コロナウイルス感染症により新しい生活様式を求められました。予想もしていなかった変化への対応を迫られました。

 昨年度は、学校が臨時休校となるなど、対面での授業ができず、普段の対面での授業、すなわち、相手の顔をみて、コミュニケーションをとることがいかに大切かということが身に染みて感じられました。SNSやメールなどの文章のみからでは、言葉を省略するなどで、きつい印象で相手に伝わることがあります。自ら口で伝えようとしたこととは異なって伝わるかもしれません。

 今後、急激に社会が変化しても、大切になってくるのが、コミュニケーションで、仕事を行う上でも最大の武器にもなると考えます。本校の教育活動の中でコミュニケーション力を高めてください。

 結びに、皆さんの頑張りを本校の教職員は全力でサポートします。保護者の皆様におかれましては、思春期の難しい年ごろとは存じますが、是非、ご家庭でもお子様とのコミュニケーションを大切にしていただき、基本的生活習慣や家庭学習の御指導などに、格別の御協力をお願い申し上げます。

 いずみ高校での高校生活を思い切り楽しみ、三年後にはお子様が心身ともに大きく成長した姿で、いずみ高校を巣立ってくれることを祈念して、式辞といたします。

令和三年四月八日

    埼玉県立いずみ高等学校長 小川 剛