日誌

南部地区大会を終えて

◎南部地区大会を終えて

 8月4日から3日間、上尾運動公園陸上競技場で、インターハイ予選の代替大会:学校総合体育大会南部地区大会が行われました。7月末に梅雨が明けたとたんに夏らしい気候になり、3日間ともに晴れて、気温は35℃を超える厳しいコンディションの中での試合でした。本年度初、およそ10か月ぶりの本番で、梅雨明けが伸びた関係で、十分な練習が消化できていない中での試合でしたが、結果はまずまずだったと思います。

 今回、特に内容が良かった種目が2つありました。1つ目は男子やり投げで3年生の秋元が優勝したことです。記録も自己ベストを5m更新する素晴らしいものでした。それ以上に、試合前から『優勝する』と宣言をしての、有言実行は素晴らしい結果です。彼は中学時代、バレーボール部でしたが、本人の言葉を借りれば、引退試合もラインズマンをやっていたというレベルだったそうです。入学後、しばらくは練習態度もあまり前向きではなく結果も出ませんでしたが、2年生あたりからとても熱心に練習に取り組むようになりました。2年の県新人で10位になった頃から、3年生では関東に行く!(県大会上位6位までが関東大会出場)という宣言をして練習も熱心に取り組んでいました。春先には十分に関東に届く位置にまで能力を伸ばしていましたが、コロナの関係ですべての試合がなくなってしまい、冬の成果を発揮する場が持てませんでした。コロナでの自粛期間が長かったため、ほとんどの生徒は、冬季練習で蓄えた2月末の力が一気に低下をして、6月下旬からの練習再開になりましたが、彼はその落ち込みが非常に少なかったと感じました。おそらく自主的にトレーニングを継続していたのでしょう。そうでなければ、今年最初の試合で、5m以上の自己ベストを更新することは不可能です。私がいずみ高校に転勤してきて5年目になりますが、2年目から毎年、南部地区大会で優勝者を出すことができていました。しかし、今の3年生の代だけ優勝者がなく、今回が最後のチャンスであったのですが、きちんと結果に結びつけられた点でも素晴らしいと思っています。

 ちなみに各年度の優勝者は
平成29年度:松田佑矢:インターハイ予選・国体予選:三段跳優勝
平成30年度:高津太陽:新人戦:やり投げ優勝
平成31年度:鈴木大翔:インターハイ予選・新人戦・国体予選:走高跳優勝
令和元年度:田畠杏純:国体予選:棒高跳優勝
令和2年度:秋元聖弥:やり投げ優勝  ※これで5期連続の南部地区大会優勝です。

転勤してきた時には、部活動に参加していた生徒はわずか2名でした。そういったことを考えればこの結果は感無量なものがあります。
 
 もう1つは男子8種競技の小嶋です。彼は2年生の7月にバスケット部から転部してきた生徒で、バスケット部ではキャプテンでエースでした。昨年は色々な種目をマスターすることに専念をしていたので、8種競技への出場は今回が初めてです。私自身もどれくらいの成績になるのか、正直予想がつきませんでした。8種競技:混成競技は2日間で8種目を行い、それぞれの記録を得点化して順位を争う種目です。非常に過酷で、欧米では混成競技のチャンピオンこそ真のアスリートの王者であるといわれているくらい、マルチな能力が要求される種目です。1種目目は100m。11″93の自己ベストで非常によい出足でした。2種目目は走幅跳。彼の得意種目であり、学校の練習では6mを超えていましたが、助走がコントロールできず5m60で終わってしまいました。40cm前後のマイナスです。ただ、混成競技の場合、こういった種目によるでこぼこは珍しいことではないので、切り替えて次の種目に臨ませました。3種目目は砲丸投。学校の練習では8m前後の記録でしたが、本番では10m11で出場選手中トップの記録をだすことができました。1日目最後の種目は400m。肉体的に厳しい種目ですが、54″12で走り、自己ベストで1日目を締めくくることができました。初日は3位での折り返しです。2日目、最初の種目は110MH。高校生のハードルの高さは106.7㎝です。走高跳くらいの高さを10台連続して超えなくてはならない、非常に技術的に難しい種目です。練習ではなんとかこなせていましたが、現在実習棟の建設工事を行っている関係で学校のグランドでは、直線で100mをとることができません。そのため練習では多くても6台目までの練習しかできませんでした。案の定8台目でバランスを崩してしまい、10台目を倒すようにしてゴールしましました。私自身は『失格か?』と思いましたが、審判長の判断で『故意ではなく、(10台目のハードルも)飛ぼうとした意思があった』と判断され、救済されました。しかし、記録は19秒台。当初の予定では17秒5前後を予定していたので1.7秒前後のマイナス、得点としては150点くらい低いものでした。気持ちを切り替えて6種目目のやり投げです。記録はこれも自己ベスト更新の40m50。参加者中トップの記録でした。この時点で全体の5位の記録でしたが、上位とはわずかな差で逆転が可能な位置にいました。7種目目は走高跳。昨秋の県新人に出場している比較的得意な種目で、自己ベストは1m63です。私自身の予測では、『1m65が飛べれば十分』というものでしたが、1m50から始めて、1m70まですべて1回でクリアー。そろそろ限界だろうと思っていましたが、その後も1m73、1m76をクリアーし、最終的には1m79まで飛んでしまいました。正直見ている私のほうが驚いてしまうくらいの跳躍でした。この記録で3位に上がり、1位との差はわずかに10点です。最終種目は1500m。このレースで1位の選手に1.2″の差をつけてゴールできれば総合優勝することができます。ただ、細かい指示をすることはせず、『自分のできる最高の走りをしよう』とだけ本人には伝えました。7種目目を終えて、疲労はかなりのものだと思います。しかし、彼は積極的に走り、ラスト1周ではトップを引っ張っていました。最後の直線では、それまで総合でトップの伊奈学園の生徒に並ばれましたが、意地で逃げ切りトップでゴールしました。結果は伊奈学園の生徒と0.6秒差。わずか6点の差で2位でした。総得点4411点の中の6点です。あと0.6″離せていれば優勝できましたが、そんなことよりも、最後まで自分の力を振り絞って走る彼の姿に、私自身が本当に久しぶりに感動しました。生徒には、常々自分の力を出し切ることの大切さを繰り返し伝えてきましたが、その答えを実際の形で彼が証明してくれました。ゴール後、優勝できなかった悔しさで彼は残念そうでしたが、それ以上に素晴らしいものを与えてもらったことに、彼に感謝をしたい気持ちになった試合でした。結局8種目中4種目で出場者トップの記録でした。ハードルの失敗がなければ余裕で優勝できたと思いますし、この状態で春の試合を迎えていれば関東大会にも十分に届くレベルにまで来ていたと思っています。最終日の1600MRでもアンカーとして爆走をして、彼の3日間は終了しました。わずか1年でここまで戦えたことは、本人の努力以外の何物でもありません。あと1年あれば…と思ってしまいますが、それはないものねだりです。とても素晴らしい時間を共有できたことに感謝以外に言葉が見あたりません。

 もう1人、昨年11月に野球から移ってきた生徒はやり投げと砲丸投げに出場しました。学校の練習では、やりで42m前後投げていたので、十分ベスト8に残れると思っていましたが、初めての試合で緊張をしたのか36mの記録で終わってしましました。試合後、本人に感想を聞きましたが、『途中から入った自分をみんなが快く受け入れてくれて、練習は頑張ったつもりだったが結果に結びつかなくて残念でした。ただ、今まで短い期間でしたが、全力で練習をしてきたので悔いはありません』と涙ながらに話していました。高校生の部活動の意義はこういった部分にあるのではないかと私自身再認識させてもらいました。比較的ゆるい部活動で『3年間頑張って悔いはありません』と言って涙を流すことと、少なくとも現在の陸上部の練習を8か月経ての『悔いがない』という涙の意味は決定的に『深さ』違うのではないかと思っています。こういった経験を1人でも多くの高校生にさせることが部活動を頑張るということの意味なのではないかと改めて感じることができました。こういった経験は今後の人生でも必ず生きてくると私自身は確信をしています。今後の進路に向けて全力で頑張ってほしいと思っています。

 昨年の今頃、今の3年生が中心の代になるときに、正直厳しい1年になると思っていましたが、彼らは、それを覆すような活躍をしてくれました。昨年と同じように、今の2年生の代には期待できる予想ができません。ただ高校生の可能性は無限であると、今まで何度も生徒に教えてもらいました。次の1年もそうなることを祈って、夏休み後半の練習に力を注ぎたいと思っています。

  南部地区大会

 第1位   男子やり投げ  秋元聖弥(3年)  ☆52m38
       女子棒高跳   田畠杏純(2年)    3m10
 第2位   男子8種競技  小嶋将裕(3年)  ☆4411点
 第3位   女子三段跳   小田島侑衣(3年)  10m96
 第4位   男子走高跳   鈴木陸人(1年)   ☆1m80
 第5位   男子砲丸投   秋元聖弥(3年)   ☆9m93
 第6位   男子三段跳   西 翔太(3年)   ☆12m86
 第7位   男子三段跳   山本陸斗(3年)   ☆12m76
                     ☆は自己ベスト記録です。