校長室から

2016年3月の記事一覧

卒業記念品をありがとうございました

 第62回卒業生の皆さんと保護者の皆様から、本校に卒業記念品を頂戴しました。
 本校のマスコットキャラクターである「イズミン」の像で、中庭の噴水横に設置していただきました。本校にお見えになる多くの方々に永く親しんでいただけるよう、かわいがっていきたいと思っております。
 すばらしい記念品をありがとうございました。

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卒業証書授与式

 本日、卒業証書授与式がおこなわれ、第52回卒業生が本校を巣立っていきました。
 第52回卒業生の皆さん、卒業おめでとう!
 本校で学んだ専門分野での実力を自信に、「志」を忘れずに精進を重ね、すばらしい人生を歩んでいくことを心から願っています。



 

卒業証書授与式 式辞

 朝晩の冷え込みも徐々に緩み、温かくやわらかな日差しに若い芽が膨らむ季節へと移ってまいりました。この春の佳き日に、埼玉県立いずみ高等学校 第五十二回卒業証書授与式を 本校PTA会長様をはじめ、ご来賓の皆様方、並びに保護者の皆様のご臨席を賜り、かくも盛大に挙行できますことに深く感謝申し上げます。

 第五十二回卒業の219名の卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。皆さんは、生物・環境系の専門高校であるいずみ高等学校を自らの意志で選び、いずみ高生としての高校生活を送ってきました。そして、六つの学科それぞれの特色ある実験・実習、校外行事など、さまざまな学びを通してその分野のスペシャリストへと歩みを進め、その歩みに見合うだけの実力を身につけてきました。その分野における皆さんの実力は、同世代の仲間より一歩も二歩も先んじています。その「自負心」と「自信」をしっかり持って卒業してほしい。自慢せよという意味ではありませんし、謙虚さを失ってはいけませんが、この「自負心」と「自信」は今の皆さんにとっての財産なのです。

 

 皆さんは今日をもっていずみ高等学校を去り、これからの長い人生を歩んでいくことになります。その人生が皆さんにとってすばらしいものとなることを、そして社会に貢献し、立派に活躍されることを願ってやみません。そこで、そうなってもらうために私が考える留意点を皆さんに伝えたいと思います。


 まだ十代の皆さんの未来には、限りない可能性があります。ただこれは可能性であって、今の皆さんはまだ何者でもありません。可能性を拡げるもつかみ取るも、これからの皆さん次第です。では、可能性を拡げたりつかみ取ったりするために必要なものは何か。それは「志」ではないかと思います。自分はこうありたい、こうなりたいという強い「思い」です。「情熱」といってもいいかもしれません。


 日々刻々と変化し、価値観も多様化している今の世の中だからこそ、こうありたい、こうなりたいという「思い」をしっかり持ち、自分の頭で考え行動することが何よりも大切だと、私は思います。


 自分の頭で考えることの大切さを説く、英文学者の外山滋比古さんは、自分の頭で考えるようになるためには、「まずは体を動かすこと。そしてもう一つは、不幸とか、貧困とか、失敗とか、そういう辛い境遇から逃げないことだ。」と言っています。


 十九世紀イギリスの歴史家にして批評家でもあるトーマス・カーライルも「経験は最良の教師である。ただし授業料が高い!」。つまり、辛い経験、痛い経験、苦しい経験こそが、その人をたくましく育ててくれる最良の先生なのだ、と言っています。日本でも「苦労は買ってでもせよ」と、昔の人はよく言ったものです。


 また、皆さんと初めて会った一学期始業式でも紹介しましたが、あの松岡修三さんは「できる!できる!キミならできる!」という応援ソングで、「本気」で挑戦することの大切さを教えてくれています。


 皆さんの人生が実り多いものとなるためにも、「志」、「思い」、「情熱」を持って、失敗を恐れず「本気」で挑戦し続けてほしい。これから待ち受けているかもしれない荒々しい困難に負けず、むしろ困難をチャンスととらえて、新しい人間力を身につけ、すばらしい人生を切り拓いていってほしい。そう願っています。


 ちょうど五年前の今日、三月十一日、日本は東日本大震災に見舞われました。その爪痕は深く、震災の復興は未だ途上です。皆さんが巣立っていく世の中は、震災の復興やエネル
ギー問題、それから格差の拡大や国際情勢の緊張など、まさに難題が山積しています。しかし、私たち一人一人が「志」を失うことなく、思いやりの気持ちを持って周りと協力し、誠実に、そして懸命に日々を生きていけば、必ずや克服できる。私はそう信じています。明るい未来を信じなければ、人生は楽しくありません。人生を充実したものにするためにも、前向きな気持ちを失ってはいけないのです。


 もう一つ。信頼できる家族や仲間をはじめとする他者の存在を、そして他者への敬意を決して忘れてはいけません。一人よがりの考えやおごりは捨てねばなりません。今の世の中は、皆で協力して働く、「協働」が求められる社会です。互いに協力し合うという意識を持っていなければ、為すことなどできません。社会では、多様な人々とともに目標に向かって協力する力、「チームで働く力」が強く求められるのです。一緒に頑張ろう、協力してつくりあげていこう、世の中をよくしていこう、という気持ちがとても大切なのです。


 京セラ名誉会長の稲盛和夫さんは、「生き方」という本の中でこんなことを言っています。

 「人生とはその「今日一日」の積み重ね、「いま」の連続にほかなりません。」

 「今日一日をないがしろにせず、懸命、真剣に生きていけば、明日は自然に見えてきます。その明日をまた懸命に生きれば一週間が見えてくる。その一週間を懸命に生きれば一ヶ月が見えてくる・・・つまり、ことさら先を見ようとしなくても、今という瞬間瞬間に全力を傾注して生きることによって、そのとき見えなかった未来の姿がやがて自然に見えるようになってくるものです。」

 是非、参考にしてみてください。


 最後になりますが、保護者の皆様におかれましては、お子様のご卒業誠におめでとうございます。本校入学時と比べて、心身ともに立派に成長した卒業生の皆さんの姿を、職員一同頼もしく思っております。


 お子様の在学中、本校教育活動に格別のご支援とご協力をいただき、誠にありがとうございました。職員一同、お子様の力をしっかり伸ばすべく、全力を尽くしてまいりました。時には至らない点やご心配をおかけしてしまったこともあったかとは存じますが、その点につきましてはどうかご容赦いただけますようお願い申し上げます。


 結びに、第五十二回卒業生の皆さんが、「志」を忘れずに精進を重ね、すばらしい人生を歩んでいくこと心から願い、式辞といたします。

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