校長室から

2018年10月の記事一覧

全校集会(衣替え朝礼)

 文化祭の振替週休日のおかげで、台風による交通機関の乱れの影響は極めて僅かでした。
 文化祭という非日常のワンダーランドからSwitchして、日常のスクールライフに切り替えていきましょう。その意味では、今日の全校集会は気持ちを切り替えるにはよいタイミングだったと思います。

先月の新人大会で活躍した陸上競技部と卓球部の表彰も行いました。


❖ 陸上競技部  南部地区新人陸上競技大会
   男子走高跳第1位 2-1鈴木くん、男子三段跳第2位 2-1鈴木くん、男子砲丸投第3位 2-6野口くん
   女子やり投げ第4位 2-3久保田さん、男子円盤投げ第4位 2-6野口くん、男子円盤投げ第5位 2-1根本くん
   女子円盤投げ第5位 2-3久保田さん、女子三段跳び第5位 2-2小池さん、女子400 MH 第6位 2-6吉野さん
   男子総合第8位 埼玉県立いずみ高等学校

❖ 陸上競技部 埼玉県陸上競技大会
   男子走高跳第5位 2-1鈴木くん、

❖ 卓球部 南部支部卓球大会
     男子団体第1位 埼玉県立いずみ高等学校(鈴木・小池・松崎・加藤・柴田・小澤・佐藤)
     男子シングルス第3位 1-1鈴木くん、同第4位2-3小池くん、女子シングルス第4位2-6西見さん


【全校集会・校長講話】
 改めまして、お早うございます。
 10月1日を過ぎました。 ビジネス街では、ネクタイを着用したり、スーツを着こなしているビジネスパーソンの姿を見るようになりました。
 以前にもお話ししたことですが、制服をしっかり着こなすということは、その集団の一員であることを表すほかに、その人の品格を表すものでもあります。皆さんがいずみ高校の制服をどう着こなすかによって、学校の品格が決まります。

 この夏、ニュージーランドの高校、サウスランド・ボーイズ・ハイスクールを訪れましたが、彼らの制服の着こなしは、とても凛として、見ている私たちも気持ちが引き締まる思いがしました。ネクタイが緩んでいる生徒なんて誰一人としていませんでした。まさに英国紳士の伝統が息づいていると感じたところです。
 皆さんもよく知っているように、ニュージーランドは、イギリス人の入植によって建国した歴史があり、文化的にはイギリスに強く影響されている国です。国家元首は本国イギリスのエリザベス女王ですし、国旗にはユニオンジャックがあしらわれています。イギリスとほぼ同じ価値観をもつ社会であり、ニュージーランド人としての誇りは、英国のプライドに近いものであるわけです。

 今日は、その英国人のプライド「ノブレス・オブリージュ」についてお話しします。

 「ノブレス・オブリージュ」とはフランス語で「貴族の義務」という意味の言葉です。もう少し分かりやすく表現するならば、「高い地位や財産・権力をもつ者には、それ相応の義務が伴うし、それを果たさなければならない」という意味になります。現在でも貴族制度が残るイギリスでは、貴族のモラルや社会的責任は常に高いものが求められていて、例えば、貴族の子弟は真っ先に兵士に志願するというのもこの精神に基づくものであったと言われています。 現に第一次・第二次次世界大戦では、貴族の子弟の多くが戦死しているという事実があります。
 この考え方は、現在の企業経営にも共通するところがあります。 皆さんはCSRという言葉は知っているでしょうか。 就職活動をしてきた3年生は当然知っていますね。 CSR、これは「Corporate Social Responsibility」の略語ですが、日本では「企業の社会的責任」などと訳されています。CSR活動には、少なからず、「ノブレス・オブリージュ」的な発想が含まれていて、企業として、ただ単に利潤を追求するだけでなく、人々や社会のためになる活動に従事することを指しています。
 少し前のことですが、東日本大震災後に大手通信会社の社長が合わせて100億円の義援金を出したことが話題になったことがあります。当時、これは「ノブレス・オブリージュ」の精神から出たものだと報じられました。
 「ノブレス・オブリージュ」の源流は「騎士道」つまり「ナイトの精神」にあります。 ここでは、知力・体力・精神力・品格・礼儀などを備えた、鍛え抜かれた賢い実力者を指して言っています。高い地位や大いなる力をもつ者には、それ相応の責任を有しているということになるわけです。

 これは我が国の「武士道」にも近いものだと言えます。
 鎌倉・戦国の時代から江戸時代を経て、サムライはもちろん、我々日本人の心の拠りどころとなった「武士道」という精神は、近代日本の黎明期、教育者で思想家であった新渡戸稲造の著作「Bushido ~The soul of Japan~」によって、世界中に伝わりました。
 新渡戸稲造は平成16年ころまで流通していた「旧五千円札」の肖像で知られますが、皆さんは幼すぎで覚えていないでしょうね。
 新渡戸稲造の書いた「武士道」は現在でも多くの日本人に読まれていますが、札幌農学校(現在の北海道大学)で農学を学んでいた稲造は、近代化のためには英語が必要であると感じ、「日本と海外の架け橋になりたい!」との思いからアメリカに留学しました。海外で生活する中で、周囲の人々から「日本には宗教教育がないのに道徳観念を持っているのは何故?」と聞かれ、この問いに答えようと考えた結果、日本人の道徳や正義を形成しているのは「武士道」だということに気づきます。そして、武士道は仏教・神道・儒教の影響を受けているものであり、一言で言うなら「高き身分の者に伴う義務(ノブレス・オブリージュ)」であると考えたのです。
 そして、この日本人の持つ精神を「義・勇・仁・礼・誠・名誉・忠義」という7つの徳(精神)で整理したものが「武士道」としてまとめられました。
 この新渡戸稲造の「武士道」については、皆さんにも是非一度読んでほしいと思っています。 現代語訳版もありますが、最近ではマンガによる解説本も複数出版されています。 マンガによるものは当然原書とは違った味わいになりますが、難解な内容でもとても読みやすくなり、時間の節約にもなるのでお勧めです。 1時間もあれば、武士道のエッセンスはすぐに理解できてしまいます。

 いずみ高校の目指す学校像には「品格あるスペシャリスト」というフレーズがあります。 知的で思慮深く、礼儀や品格を備え、スペシャリストとして、地域やこの国に貢献できる人になってほしい、そうした願いが込められています。
 地域の方は、制服の着こなしはもちろんのこと、そのスカートの長さ、真っ赤な唇、スラックスの裾まくりまでをもよく見ています。 ですから、襟を正し、凛とした品格あるいずみ高生としてその存在をアピールしてほしい。 眉をひそめられるような若者にはならないでほしい。
 いずみプライドの一つとして一人一人が考え、行動してほしいと思っています。 そのためには、まずは「時を守り、場を清め、礼を尽くす」ことを心がけることです。

 最後に、読書の秋、皆さんはどんな本を読んで自分の知識を深めていくのでしょうか。
 本から得た知識は日常生活にどうやって生かしていくのか。 ある脳科学者は「人間の脳は出入力によって賢くなっていく。 インプットだけではだめで、そういう意味ではたくさんの本を読んでも、それをアウトプットしないのでは脳は活性化しない。 インプットとアウトプットのバランスは3:7くらいが丁度いい。 だから読書の後には、自分の考えをまとめ、ほかの人とディカッションすることが脳にとっては良い刺激になる。」と言っています。
 これは日本中の学校で進められている「学びの改革」とも共通しています。 一方的に知識をインプットするだけでは、学びは深まらない。 知識基盤型社会においては、インプットとアウトプットを行う学び、「一方通行ではなく、双方向、つまりは対話的な学び」によってこそ、学びが深まり、21世紀型のスキルが身につくと言われているわけです。

 ノブレス・オブリージュ、武士道を意識して、品格あるいずみ高生として、品格あるスペシャリストとなるために、多くの本を読んで深い学びをしてください。
 ロシアの作家ドストエフスキーはこう言いました。 「学びかつ読め。真摯に書を読め。人生は違ったものになる。」

 私の話は以上です。
0

本日は振替週休日

 いずみ高校は本日は休業させていただきます。
 これは先週末に文化祭(湧泉祭)を実施したことに伴う措置であり、台風24号によるものではありません。なお、電話等の対応はいたしかねますのでご了承ください。

 部活動などで登校する生徒は、交通機関の乱れはもちろんのこと、河川の増水、強風による飛来物や落下物に十分注意し、安全第一で登校してください。くれぐれも無理はしないこと。以上よろしくお願いします。
0