校長室から

2021年3月の記事一覧

修了式

 緊急事態宣言が解除され、今日の令和2年度修了式は、久しぶりに在校生のすべてを体育館に集めて実施しました。感染症拡大のリバウンドや第4波の到来が心配される世の中ですが、やはり、意義のある必要な行事は、感染症対策に万全を期した上で、実施することが大切だと考えます。
 そのことは生徒たちの表情から気づかされました。集合時刻の10分前には整然と並び、誰一人おしゃべりをすることなく、式のスタートを待っていました。おかけで8分も早く式を始めることができました。

 それは、式典等に臨む素晴らしい心的態度であり、いずみ高生の誇りであると改めて気づかされました。

 

  

【校長講話】

 皆さん、おはようございます。

 緊急事態宣言が解除され、今朝はこうして、久しぶりにいずみ高生が体育館に一堂に会することができました。
 しかし、油断は禁物です。感染のリバウンド、第4波の到来が懸念される中での宣言解除ですから、引き続き感染防止に努めてください。

 コロナ禍で明け暮れた令和2年度が終了します。
 思うような取組ができなかったり、何かと制約づくめの毎日で、辟易してしまうこともあったかもしれません。しかし、ものは考えようで、ステイホームと3密を避けるというニューノーマルの時代は、皆さんに自分自身を見つめ直すことや、成長のためのエネルギーを蓄積する時間を創り出したとは言えないでしょうか。
 ステイホーム中、YouTubeで数多くの動画を観た、好きな作家の小説を一気読みした、サブスクリプションサービスで、音楽や映画、ドラマやアニメ作品を堪能した、こうした経験は、皆さんの心を成長させる肥しとなったはずです。私も、この1年間はいつもの年より、多くの本を読みましたし、音楽や映画などを家で観る機会がたくさんありました。心にとてもよい栄養を届けられたと思っています。 

 年度末に当たり、この1年間を振り返るとともに、新たな学年に進級して、新たな目標、新たなゴールをイメージしようとしている皆さんに、少しばかりのエールを送りたいと思います。

 今朝は、「成功する人の10か条」を紹介します。

 これは、元々は大和ハウス工業会長の樋口武男さんの「成功する人の12か条、失敗する人の12か条」がオリジナルのようですが、「成功する」のパートのみ、高校生向けに10に絞り込んでみたものです。改めて10か条を見てみますと、なるほどと思う内容ばかりです。皆さんが新学期をどんな気持ちで迎え、どんなスタートを切るのか、そのときに心の片隅に、この10か条を皆さんの指針の一つに加えていただければ幸いです。 

 1つ目は「人間的成長を求め続ける」です。
 学生でも社会人でも、人は生涯にわたって学び続ける存在です。人間としての成長に終わりはありません。永遠なる未完、これこそが成長のかたちであり、今日の皆さんはこれまでのすべての経験によって創り上げられているのだと理解すべきです。無駄なことなんて一つもありません。人間的な成長を続ける姿こそが、人としての魅力につながるのだと思います。 

 2つ目は「自信と誇りを持つ」ことです。
 自分に自信があると胸を張れる人は少ないと思います。でも、やがて大人になる皆さんには、いつかは自信と誇りに溢れる大人に成長してもらいたいと思います。勉強でも、課外活動でも、部活動でも、将来の自信やプライドにつながる何かに全力投球してください。何かの分野に自信をもち、自らのプライドによって人は立つのです。 

 3つ目は「常に明確な目標を指向」する、です。
 心をマネジメントするというお話をしたことがありますが、人の心は自分自信の言葉(声)によって動き出すものです。目標やゴールをしっかり心に描き、現状とのギャップをよく把握して、何が不足しているのか、どんな努力が必要なのかといった、具体的な努力の道筋を立てることが大切です。自分の心には常にポジティブな言葉がけをするべきです。 

 4つ目は「他人の幸福に役立ちたい」です。
 「誰かの役に立ちたい」、これは人間が抱くごく普通の感情であり、他人の幸福に役立つことは、自分自身の幸せにもつながる行動でもあります。他人の幸せのために頑張ることが、廻り回って、実は自分の幸福につながるのだということを忘れないでください。人生を幸せに送りたければ、「誰かのためになる」「社会のために貢献する」ことに努力を注げはよいのです。 

 5つ目は「失敗も成功につなげる」ことです。
 失敗は成功の母と言いますが、発明王のトーマス・エジソンも数多くの失敗から成功を導き出しています。誤った選択、間違った行動などの結果として生じた失敗は、失敗したそのことよりも、どうやってそこから立ち上がるかの方がはるかに重要です。そのためにも、失敗から学び、何度でも立ち上がる、レジリエンス力を鍛えていくことが大切です。 

 6つ目は「いまここに100%全力投球」です。
 何事にも全力投球できるというのは皆さん方、若者の特権です。躊躇することなく、己の信じるがままに全力を注いでみてください。100%の力で失敗することは、やらずに後悔するのに比べること幾万倍だと思います。全力を出し切ったチャレンジには、その成否にかかわらず、その人を必ず成長させるものだと言えます。

  7つ目は「自己投資を続ける」ことです。
 先ほども、人は生涯にわたって学び続ける存在だと言いました。人間としての成長に終わりはありません。自分へ向けた投資とは、お金だけを指すものではなく、時間も大切な投資対象となります。そして、読書によって新しい知識を獲得したり、世の中で生きるための経験値を積み上げていくための投資が大切になってきます。 

 8つ目は「時間を有効に活用」する、です。
 Time is money(時は金なり)といいます。「時を守る」実践の中で時間を守ることの大切さは十二分に理解しているでしょう。時間を守ることは人との約束を守ることであり、相手をリスペクトすることです。何人にも平等に与えられた時間を有効に活用してください。そして、その限られたリソースを何に投資するかはあなた次第です。 

 9つ目は「できる方法を考える」です。
 複雑化する今日の社会においては、問題解決のため唯一の「正解」を見つけることは極めて困難です。あらゆる方法を試し、問題解決に近づける「至適解」や「最適解」を導く力が求められています。決して諦めず、トライアンドエラーを繰り返してでも、粘り強く真実・真理に近づいていく努力こそが尊いのだと思います。 

 10つ目は「可能性に挑戦し続ける」ことです。
 「諦めたらそこで試合終了ですよ」とは、あるバスケットボール部の監督の言でしたが、本当の才能とは「諦めない心」だと思います。生まれもった才能より、実は、諦めない心の方が、はるかに重要です。諦めさえしなければ、夢が叶う可能性は飛躍的に向上します。夢や希望が成就しないのは、能力がないからではなく、途中で諦めるからなのです。 

 以上が「成功する人の10か条」です。

 皆さんの心に一つでも刺さるものがあれば、今後の学校生活に生かしていただきたいと思います。
 とはいえ、今お話しした10か条すべてを振り返るのは、話を聞いただけでは、かなり困難でしょう。今日のお話は学校ホームページにも掲載していますので、是非読み返してみてください。 

 さて、春は出会いと別れの季節です。
 先日、卒業生と別れたばかりですが、4月になると先生方の異動があり、何人かの先生方は別の学校に転出され、お別れになります。もちろん、新しい先生をお迎えすることにはなるのですが、なんとも淋しい限りです。
 ですが、新しい人との出会いは新たな縁をもたらします。新しい友、新しい先生との出会いから、皆さんの人生が大きく動き出すことだってあります。
 そして、新たな人間関係は、皆さんの新たな面を輝かせるかもしれません。出会いの春に期待するとともに、そうした新たな人間関係構築のための自分磨きをお忘れなく。 

 新型コロナウイルス感染症の蔓延が予断を許さない中で春休みを迎えることになりますが、皆さんにはどうかお元気で。 

 私の話は以上です。

 

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第57回卒業証書授与式

  

 

【式辞】

 春風駘蕩たる穏やかな日和に恵まれた今日の佳き日、本校PTA会長 金 由香里 様をはじめ、多くの保護者の皆様にご臨席を賜り、こうして「埼玉県立いずみ高等学校 第五十七回卒業証書授与式」を挙行できますことは、コロナ禍による様々な困難がある今日の状況を鑑みますと、大変ありがたいことだと思っております。「難があるから有難い」だそうですが、まさに感謝の気持ちでいっぱいであります。
 ただ感染防止の観点から、在校生の参列を叶えることが出来なかったのは誠に残念でありますが、彼らは皆、温かい気持ちで卒業生を祝福する思いでいることをお伝えさせていただきます。 

 さて、本校第五十七回卒業となる二百六名の卒業生の皆さん、卒業おめでとうございます。

 皆さんの高校時代の後半は、感染症による闇が世の中を覆いました。先を見通すことができず、ステイホームと三密を避け、マスクと手洗いを続ける日々が続きました。そして、人々との接触を断つことがいかに辛いことであるかということを思い知らされました。
 人類の歴史を振り考えれば、感染症をもたらすウイルスは、常に人類と共生する関係にあります。生き物について学び、生き物の生命の源である地球環境に関する多くの知識を得た皆さんには、私たち人類がそのウイルスとどう対峙していくべきかを知っているはずです。これから皆さんが社会に出で、世の中に貢献していく上では、環境問題をグローバルに思考できる力は、いずみ高生の大きなアドバンテージとなり得るものです。

 今こそいずみ高校での学びの成果を生かし、環境の保全とその利活用について、世の中に役立つ実践者になっていただきたいと思います。 

 今日は、そんな皆さんに、この先不透明で難しい時代を逞しく生きていく上で、心にとめておいていただきたいことを二つだけお話しさせていただきます。

  一つ目は「夢を追い続け、諦めず挑戦し続けること」です。

 皆さんもよく知る発明王のトーマス・エジソンは、電球を実用化する際、実に二千個ものフィラメントを試し、ようやく低価格で効率的に生産できる電球を考案しました。気の遠くなるような努力を支えていたのは、夢を諦めない彼の熱意や情熱でした。エジソンは多くの失敗を経験するうちに、失敗とは目標に一歩ずつ近づいていることだという考えを持つようになったと云います。

「これは失敗ではない。うまくいかない一万通りの方法を発見したのだ。」

 失敗とは人生を豊かにするスパイスのようなものだと云う人がいます。エジソンは自分の夢を追い続け、諦めずに挑戦するという意味で、非凡の才能の持ち主だったのだと思います。また、こんなことを言う人もいます。失敗や挫折のない人生なんてつまらない、人としての魅力もない。失敗や挫折の経験を素直に語れる正直さ、そこから諦めずに行動し、成長し続けたサクセスストーリー、そういうところに人は惹かれるのだ、と。

 皆さんのこの先の人生にも、失敗や挫折が待ち受けているかもしれません。しかし、そこから学び、己を磨く機会と前向きに捉えることのできる、何度でも立ち上がれる、強いレジリエンスを持った人であってほしいのです。

 二つ目は「心優しい人であること」です。

 ある花屋さんに五歳くらいの小さな男の子がやって来ました。小さなカーネーションのバスケットを抱え、一人でレジにやってきた彼は満面の笑顔でレジ係の若い男性店員に「お母さんにあげるんですけど、これで足りますか。」と、かわいらしい小銭入れを渡しました。店員が中身を見ると、小さく折りたたまれた千円札が一枚入っていました。このバスケットは千五百円の商品だったので、これではお金が足りません。ところが、その店員は店の主に目配せをすると、千円札を取り出し「ああ ぴったりだ、買えるよ。お母さんきっと喜ぶね!」と男の子に優しく声をかけたのです。男の子は「ありがとうございました」と深々とお辞儀をして帰っていきました。時々こちらを振り返り、嬉しそうな表情で大きく手を振りながら。

 このお話には二人の優しい人物が登場します。一人はカーネーションを買いに来た五歳の男の子、母親思いの優しさに溢れています。そしてもう一人はレジの店員です。男の子の健気な想いに気づき、機転を働かせて、最高の接客を行いました。それは優しくそして勇気ある行動でした。 

 私はこれまで、「諦めずに努力を続けること」こそ、人が最大限に力を発揮できる原動力だとお話ししてきました。また、人間だけが持つ「優しさや思いやりの心」を大切にしてほしいと、繰り返してきました。一人一人が夢を諦めずに努力を重ね、優しい気持ちを失わず、相手の立場に立って行動できさえすれば、この世の中は素晴らしいものになると信じているからです。おそらくこれは、人々が幸福に生きるためのただ一つの真理なのだと思います。 

 私の好きな映画にロビン・ウイリアムズ主演の「パッチ・アダムス」という作品があります。その主題歌「Faith of the heart」は、感動のラストシーンで、ロッド・スチュワートによって情感豊かに歌い上げられるのですが、この歌の歌詞の一部を紹介します。 

「Cause I've got faith of the heart.(心に信じるものがあるから)
 I'm going where my heart will take me.(心の導かれる道を進むんだ)
 I've got faith to believe.(自分の信念を信じているから)
 I can do anything.(どんなことでさえできる)
 I've got strength of the soul.(くじけぬ魂があるから)
 And no one's going to bend or break me.(誰にも屈することはないんだ)
 I can reach any star.(どんな星にだって手が届くさ)
 I've got faith,(信念があるから)
 I've got faith,  Faith of the heart.(自分の心の声を信じ続けよう)」

 いずみ高校を巣立ち、人生という大海原に漕ぎだしていく皆さん、皆さんの心のうちにある信念、自分の心の声を信じて、皆さんの人生を正々堂々と歩いて行ってください。 

 さて、今日は皆さんの卒業の日ですが、これは皆さんだけのお祝いの日ではありません。ちょうど皆さんの誕生日がご家族の大切な記念日であるように、今日の卒業もご家族とともにその喜びを噛み締める日です。皆さんが生まれたとき、初めて言葉を発したとき、小学校や中学校時代の様々な出来事、そして三年前、このいずみ高校に入学したことなど、そのどれもがご家族の大切な思い出です。嬉しいことや辛いことなどが交錯する中、ご家族が今日までどんな思いで皆さんを見守ってきたか、家族の数だけ物語があるのです。
 ですから、今日は、感謝の思いを表現することで、これまでの家族の思いに応えなければなりません。少し照れくさいかもしれませんが、「ありがとう」と声にしてみてください。 

 保護者の皆様におかれましては、お子様のご卒業、誠におめでとうございます。

 本校入学時と比べて心身ともに立派に成長した卒業生の皆さんの姿を、職員一同とても頼もしく思っております。そして、この卒業を機に、さらなる大人としての成長を遂げてくれるものと期待しております。お子様の在学中、本校教育活動への格別のご支援とご協力をいただきましたことに、改めて衷心より感謝申し上げます。本当にありがとうございました。 

 結びに、第五十七回卒業生の皆さんが、素晴らしい人生を歩み、未知なる地平に勇敢に旅立つことを心から願い、私の好きな言葉を添えて、式辞といたします。 

 To boldly go where no one has gone before!

 

 令和三年三月十二日

    埼玉県立いずみ高等学校長 栗藤 義明

 

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卒業記念品について

 本日の第57回卒業証書授与式で披露された「卒業記念品」をご紹介します。

 本校の象徴的存在である中庭に「サインポール」を設置していただきました。サインポールとは風見鶏付きの案内板のことです。いずみ高校には多くの施設がありますが、今年度までに新しい実習等が2棟建築され、実験実習1号棟から5号棟までがようやく揃いました。こうした施設を指し示す矢印の形をした看板がこのサインポールに取り付けられています。写真をご覧になれば一目瞭然、いずみ高校の新たなシンボルとなりそうです。

 第57回の卒業生の皆さん、ありがとうございます。
 末永く大切に使わせていただきます。

  

 平成30(2018)年度に実施した「グローバル・ワークショップ  in  Zew Zealand(海外研修)」に行ったとき、NZ最南端の街「Bluff」で見たサインポールを彷彿とさせる、とてもスマートなデザインです。

(H30.8.24 GWNZ報告書から)

 

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